大学シラバスの手引き(PDF) 短大シラバスの手引き(PDF) シラバス トップページへ 本 学 ホームページへ

シラバス(公開版)

2025年度 

 
  地域工芸論
[ D-3-f-10-2-3 ]
 

 単位(総授業時間数+自習時間):2(30 + 60)
 対象学科:美表3年
 授業形態:講義 学期:後期 必・選:必修
 美術表現学科専攻科目
 佐 藤 雅 也

授業概要
 地域の工芸、伝統工芸、伝統的工芸、伝統産業などの歴史文化について、第1に旧仙台藩・城下町由来の手工業の視点、第2に明治以降に展開する新しい近代的な手工業の視点、第3に殖産興業政策や「旧慣」保存政策によって新たに概念化された美術工芸、工芸、産業工芸、工業(固有工業〔手工業〕と器械工業)などの視点、第4に明治10年代以降に登場する地誌・郷土誌・郷土読本・観光商工案内書などに見る郷土の物産の視点、第5に機械制工業の確立期に意識化された民芸の視点、第6に明治後期以降に登場する柳田国男の「民俗」概念を前提としつつ、昭和初め、戦後、高度経済成長期に意識化された民具の視点、第7に戦後、現代に提唱された伝統工芸、伝統的工芸、伝統産業などの視点から考えていく。

授業の到達目標
 
学位授与の方針との関連
 
 工芸、美術工芸、伝統工芸、伝統的工芸品産業、民芸(民衆的工芸)、民具などの歴史的な用語の意味を理解すること。
 
 仙台地方や宮城県を中心に地域工芸の歴史的、経済的、文化的な意義を理解すること。
 
 映像記録や採集記録、文献・統計資料などをもとに地域工芸の担い手の視点から工芸の現在・過去・未来を理解し展望すること。
 

授業計画
 
内容 自習(事前・事後学習の内容)
 
1 はじめに(自己紹介、授業の進め方、評価方法、授業概要・目標・計画等)
1 工芸とは何だろう
(1)工業と工芸(工芸と美術工芸)
(2)民芸
授業概要を理解する

工芸、民芸等の用語を理解する
 
2 (3)民具
(4)道具と機械の区分点
(5)職人と職工
(6)伝統的工芸品産業
(7)伝統工芸

民具、伝統工芸、伝統的工芸品などの用語を理解する
 
3 2 仙台藩時代の手仕事と近代仙台の手工業、工芸、職人の変遷
(1)仙台藩時代の手仕事
(2)近代仙台の手工業、工芸、職人の変遷
(3)郷土の物産と工芸

江戸時代の手仕事に由来する近代の手工業、工芸を理解する
 
4 3 明治初年以降の「旧慣」保存と文化財保護行政、日本美術史の成立
(1)1880年代、大和における文化財保護
(2)帝室博物館の設置、明治30年(1897)制定の古社寺保存法
(3)日本美術史(時代区分)の成立

明治の「旧慣」保存と文化財保護について調べる
 
5 4 近代日本の産業政策の分岐点と地域産業(在来産業、地域工芸)
(1)『温知図録』による輸出工業(工芸)の振興
(2)1880年代『興業意見』構想と在来産業政策
明治の『温知図録』と『興業意見』構想を調べる
 
6 (3)仙台市の市是に見る産業振興と職人技術の改良、変遷 国是、県是、郡是、市是、町村是と工芸について調べる
 
7 5 徒弟制度と職人(近代) 徒弟制度について調べる
 
8 6 徒弟制度と職人(現代) 技能教育について調べる
 
9 7 住関連の工芸(大工、指物、左官、石工、畳刺、寝具製作、表具師等)・DVD上映予定『仙台タンス』
プラクティス①仙台タンスについて
住関連の工芸や仙台タンスについて調べる
 
10 8 衣関連の工芸(履物、染織等)・DVD上映予定『仙台の木綿染め』
プラクティス②木綿染めについて
衣関連の工芸や木綿染めについて調べる
 
11 9 食関連の工芸(桶、堤焼、金網と曲輪等)・DVD上映予定『桶作り』『仙台の金網と曲輪』
プラクティス③桶作り、金網と曲輪について
食関連の工芸や桶、金網と曲輪について調べる
 
12 10 鍛冶屋(刃物鍛冶、鋸鍛冶、野鍛冶等)・DVD上映予定『仙台の刃物鍛冶』
プラクティス④刃物鍛冶について
鍛冶屋について調べる
 
13 11 柳生和紙と松川達磨・DVD上映予定『仙台の柳生和紙と松川達磨』
プラクティス⑤柳生和紙と松川達磨について
和紙、達磨について調べる
 
14 12 正月飾りと伝承切り紙「おかざり、きりこ、きざみもの」 正月飾りと工芸について調べる
 
15 補足とまとめ 授業内容を振り返り、要点をまとめる
 

履修上の注意
予習、復習に努め、積極的に授業に取り組むこと。

成績評価方法・基準
授業内容をどの程度理解しているか確認するために、感想や意見などを記入するプラクティス(練習)を5回ほど行い(1回10点の計50点)、授業の中でフィードバックする。レポート課題「授業の内容をもとに地域工芸論の特徴について論述して下さい」の提出が50点満点で、合計100点で採点評価する。レポート課題は、1~2枚程度で第14回~第15回までに提出すること。

教科書
佐藤雅也『仙台の伝統工芸の歴史と現在』(国宝大崎八幡宮・仙台・江戸学叢書72、2022年)800円(税別)

参考書
授業内にプリント配布する。

備 考
必修

 
Copyright © Mishima Gakuen All Rights Reserved.