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シラバス(公開版)

2025年度 

 
  美術鑑賞Ⅰ
[ D-3-f-07-1-2 ]
 

 単位(総授業時間数+自習時間):2(30 + 60)
 対象学科:美表2年
 授業形態:講義 学期:後期 必・選:選択
 美術表現学科専攻科目
 大 嶋 貴 明

授業概要
鑑賞という営みの理論および鑑賞によって成立することの可能性を論ずる。美術史Ⅰおよび美術史Ⅱに連接させて、近現代の美術作品と美術理論について、その概要を論ずる。いくつかの具体的な作品について、「よく見る」ことによってみえてくるものについて、ケーススタディする。具体的作品を巡って、「見ただけでは理解できないこと」について検討し、「他者」「仮説される作者」「作品の自立」などについて考察する。自己の作品発表時に必要なステートメントなどの在り方を検討し、その作品の鑑賞に対する影響を考察する。

授業の到達目標
 
学位授与の方針との関連
 
理論化された鑑賞について理解して、主体的鑑賞行為ができる。
 
「近代」と「現代」の状況理解が深まる。
 
美術史的脈絡と自作との関連について考慮できる。
 
自作の持つべき現代性について考慮できる。
 

授業計画
 
内容 自習(事前・事後学習の内容)
 
1 オリエンテーション
「鑑賞」の理論化可能性
「作品を見る」ゲーム体験:作品の表象性について
事前:美術史Ⅰおよび美術史Ⅱの復習
事後:講義中提示されたキーワード「表象」「世界観」「作品」について、ウェブなどで検索しメモをつくる。疑問点をまとめる。
 
2 美術史ゲーム体験:作品間の連続性と分断(美術史と美術理論の可能性)
「近代」への展開:メトロポリタン美術館展の展示から
事前:2022年に国立新美術館などで開催された「メトロポリタン美術館展」について調べる。
事後:「美術史的展開の連続性と分断性」を中心にメモを整理し、疑問点を明確にする。
 
3 「美術」概念の検討 事前:「美術」「アート」などの基本概念について、その意味するところを、調べておく。
事後:「感性」「世界観」「媒介」などを中心軸として整理し、疑問点をまとめる。
 
4 「鑑賞」「観賞」「観照」、それぞれの機序について検討する。 事前:「鑑賞」について英訳し、使用後の意味を調べる。(和英、英英大辞典を使用のこと)
事後:「即自・対他・対自」の三段階を中心概念として講義メモを整理し、疑問点をまとめる。
 
5 要素主義的鑑賞について。
見ることで認識できる/見ただけでは認識不可能なこと。
全人格的鑑賞。
事前:「美術」「アート」などの基本概念について、その意味の歴史的変化を、調べておく。
事後:「世界観の拡張」を中心概念として講義メモを整理し、疑問点をまとめる。
 
6 「展示鑑賞」は「展示」を鑑賞するか。
世界理解としての世界鑑賞について。
事前:ミューゼオロジー的展示論について調べておく。
事後:「世界理解の不可能性」を中心概念として講義メモを整理し、疑問点をまとめる。
 
7 「鑑賞論」について振り返り:疑問点の確認
中間レポートの準備
事前:第1回から第6回までの疑問点を整理し、小レポートにまとめ提出
事後:中間レポートを作成し提出
 
8 「近代」と「現代」について検討。
「ポストモダン」「スーパーモダン」「レイトモダン」、3つの状況について
事前:「近代」「現代」などの基本概念について、その意味するところを、調べておく。
事後:「現代」の概念的不確定性を軸に整理し、疑問点をまとめる。
 
9 印象派、新印象派、ポスト印象派、象徴主義などについて 事前:「印象派」などの基本概念について、その意味するところを、調べておく。
事後:ポスト印象派の3人を中心に整理し、疑問点をまとめる。
 
10 20世紀前半、戦間期までの美術の諸潮流。
戦間期の美術の諸潮流。
事前:「キュビスム」などの基本概念について、その意味するところを、調べておく。
事後:「美術概念の展開」を軸に講義メモを整理し、疑問点をまとめる。
 
11 20世紀後期の美術の諸潮流 事前:「抽象表現主義」などの基本概念について、その意味するところを、調べておく。
事後:「絵画以外の形式の展開」を軸に整理し、疑問点をまとめる。
 
12 冷戦終結後、2010年ごろまでの美術の諸潮流 事前:事前プリントに従って基本概念について、その意味するところを、調べておく。
事後:「美術の外部性」の観点を中心に整理し、疑問点をまとめる。
 
13 2025年までの美術について。 事前:事前プリントに従って基本概念について、その意味するところを、調べておく。
事後:ワークインプログレッシブなど「収斂しない美術」を軸に整理し、疑問点をまとめる。
 
14 近現代の美術の潮流について振り返り:疑問点の確認
作品鑑賞レポートの準備
事前:事前プリントに従って基本概念について、その意味するところを、調べておく。
事後:レポートで扱う事象について調べる。
 
15 鑑賞教育の意味と限界について論ずる。
疑問点の確認
事前:小レポート(疑問点)の作成(本時までに提出)
事後:各自の疑問を軸に講義メモを整理する。
 

履修上の注意
毎回、可能な限り次回講義の資料プリントやレジュメを渡す。受講者からは簡単な疑問点や内容についての小レポート提出をもとめる。小レポートは10分程度のものとし、成績評価と出欠の確認用とし、必要に応じてフィードバックする。
中間レポートと作品鑑賞レポートを課す。レポートのテーマや詳細については、中間レポートは11月初め、作品鑑賞レポートについては、1月半ばに提示する。
なお、レポートの形式、分量、制作上の注意点については第1回目講義時に説明する。
事前学習については、最低限ウェブでの検索によって、キーワードや重要な作品についてあたりをつけておくこと。
事後学習については、ノートの整理、特に疑問点の抽出を大事にすること。
その他、必要事項があれば、初回講義時に説明する。

成績評価方法・基準
小レポート(14回):30% 第15回小レポート:10% 中間レポート:20% 作品鑑賞レポート:40%
各レポートの採点基準については、初回講義時に説明する。

教科書
使用しない。
講義時にはレジュメおよび資料プリントを配布する。

参考書
「美術館活用術」ロンドン・テートギャラリー編  著者:ヘレン・チャーマン/キャサリン・ローズ 監訳:奥村高明/長田謙一 訳:酒井敦子/品川知子  美術出版社  3500円
講談社選書メチエ666「なぜ世界は存在しないか」  マルクス・ガブリエル著  講談社  1850円
「センスの哲学」  千葉雅也著  文藝春秋  1760円

備 考
参考すべきものは、参考書としてあげたものだけではなく多くの大事な書物や画集、展覧会カタログなどがある。講義中で紹介するものや、展覧会を含め、できるだけ広く実際に手に取ったり見たりすることが望ましい。
質問や疑問点は、講義中など時間をとるが、詳しくは、初回講義時に説明する。

 
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