東北生活文化大学 東北生活文化大学短期大学部 学長
佐藤 一郎
温かい眼差しで学生に寄り添う
三島学園の東北生活文化大学ならびに短期大学部の歴史を紐解くと、明治33(1900)年、東京で法律を学んだ三島駒治氏が、「東北法律学校」を設立、続いて3年後に三島駒治、よし夫妻によって創設された「東北女子職業学校」にまで遡ります。昨年、令和2年10月27日に創立120周年を迎えており、東北の中心地仙台に根付いた、伝統ある教育機関として親しまれています。「令和」という新しい元号を迎えています。そのいわれは、『万葉集』巻五の「梅花の歌 三十二首」の序文「時に、初春の令月にして、気淑く風和はらぎ」であります。三島学園には、三島よし校長の親族である齋藤實子爵(第30代内閣総理大臣)御手植えの紅梅白梅が毎春咲いています。気淑く風和はらぐなか、清く、正しく、健やかに、時代とともに年輪を重ね、咲いてきた梅花のように、三島学園は歩んでいきたいと思っています。
本学は、三島学園創立以来の女子教育の伝統を受け継いで、明治、大正、昭和、平成と、東北における日本社会の近代化を担い、衣食住という「生活と文化」を基軸に据え、現実の社会生活に貢献しうる「実学」を重視する教育機関として出発しました。同時に、自分が生きる原理、原初に立ち返り、自分自身が実験を重ね実証していくサイエンスとしての教育と研究の姿勢をも貫いてきました。
近年、令和となって、大学には、地球社会のグローバル化の大波が押し寄せ、高度情報化社会に対応する人材養成が急務とされています。そして、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、人間中心の社会を作り出そうという、ソサエティ5.0(Society 5.0)が進行しています。そのためには、コミュニケーションスキル、数量的スキル、情報リテラシーなど、実生活に必要なAI(人工知能)を扱う技術、それと、人文・社会科学、文化・芸術などの幅広い教養の涵養が求められています。本学は、このような「21世紀型市民」の人材養成を担う機関としての役割を目指しています。
家政学部においては、家庭科教諭の養成、ファッション造形のさらなる充実、管理栄養士の養成、美術学部では、美術科教諭の養成、ゲーム・アニメーション造形のさらなる充実、短期大学部においては、栄養士・保育士・幼稚園教諭の養成、四年制大学への編入学をより積極的に取り組み、温かい眼差しで学生に寄り添う大学として、邁進してまいります。
【学長プロフィール】
佐藤一郎(さとういちろう)
昭和21年 8月26日 宮城県古川市(現大崎市)生まれ、仙台市に育つ。
明治美術学会会員、文化財保護修復学会会員、文化財保護・芸術振興助成財団評議員、日本美術家連盟会員および委員。
昭和45年2月、東京藝術大学卒展「透視肖像の圖」文部省買上げ(東京藝術大学美術館蔵)/昭和45年10月、「晶子肖像の圖」大橋賞受賞(宮城県美術館蔵)/昭和56年6月、セントラル美術館油絵大賞展「ぬい五歳像」佳作賞受賞(宮城県美術館蔵)/平成26年2月、平成26年度宮城県芸術選奨(美術・洋画)受賞。
【略歴】
昭和40年 3月 宮城県仙台第二高等学校卒業
昭和45年 3月 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻首席卒業
昭和47年 3月 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程油画修了 修士(芸術学)
昭和48年 6月 ドイツ学術交流会留学生(DAAD)としてハンブルク美術大学に留学(昭和52年12月まで)
昭和56年 3月 東京藝術大学大学院美術研究科博士課程油画専攻単位取得退学
昭和56年 4月 東京藝術大学講師(油画技法材料研究室)
昭和61年 4月 東京藝術大学助教授(油画技法材料研究室)
平成 5年 5月 宮城県美術館石膏原型管理委員会委員(平成12年5月まで)
平成 7年 4月 文部省在外研究員としてウイーン美術大学修復学科に在籍(平成8年2月まで)
平成 7年 4月 みやぎ夢大使(平成17年11月まで)
平成11年 1月 東京藝術大学教授(油画技法材料研究室、兼担:文化財保存学保存修復油画研究室)
平成13年 4月 センダイ アートアニュアル審査員(平成17年3月まで)
平成26年 3月 東京藝術大学定年退職
平成26年 4月 金沢美術工芸大学大学院専任教授(平成31年3月まで)
平成31年 4月 東北生活文化大学ならびに東北生活文化大学短期大学部学長
令和 3年 7月 宮城県仙台第二高等学校同窓会会長