服飾文化専攻では、今年度第2弾の服飾講座(全5回)を配信します。
服飾講座では、専攻での教育や研究内容に関連する生活文化や服飾文化、教育分野等の様々な知識をお伝えしています。
「ファッションなのになぜ実験?」今回の講座では、被服の実験に使用する機器を紹介しながら解説します。(毎週火曜配信)
服飾講座⑤「Pilling Tester」
第5回目はTO Type Pilling Tester(TO型ピリング試験機)を紹介します。
ピリング試験機はテキスタイル(布)のピリングについて調べる実験機器です。
冬が近づいてきましたね。寒い時期には体を冷やさないように、セーターやカーディガン等のファッションアイテムを着用する機会が増えることと思います。長期間、着用と洗濯を繰り返していくうちに表面が毛羽だったり毛玉(ピリング、またはビリ)が発生したり、見た目に変化が出てくることも多いですね。
「ファッションなのになぜ実験?」 これは、ピリングが生じると外観が著しく損なわれ、風合いまで変化する場合も考えられるので、ピリングの生じやすさを調べるために実験を行う必要があるのです。また、ピリングを防ぐ抗ピリング加工品では、ピリングの発生しやすさを未加工品と比較するため等にも行われます。
JISのピリング試験には、TO法、ICI法、アピアランスリテンション法、ランダムタンブル法があります。今回紹介するTO型ピリング試験機は金属製円筒が中央にあります。円筒内に12.5㎝四方の試験片を入れた後、ゴムバンドを装着した羽根を30分間高速回転させ、試験後のピリングの発生状態を判定写真と比較します。
アクリル(コート用)の布についてピリング実験を行ってみました。
ピリングは、着用や洗濯等の摩擦で表面が毛羽立ち、毛羽が絡み合うことで発生します。合繊や毛のニットで多く見られ、冬用のセーター等には甘撚糸が使われ組織がルーズであるために特に発生しやすくなります。
被服の実験に使用する機器シリーズは今回で最終回となります。ありがとうございました。 by井上