服飾文化専攻では、「服飾講座」を配信します。(全8回、5月~7月予定)
専攻の教育・研究に関する生活・服飾、教育等、様々な知識をシリーズでお伝えします。
服飾講座③ 染色学 「絞り染め」
第3回目は染色学研究室の川又が担当します。
私たちの身の回りには、いろいろな模様がつけられた布があり、生活を彩っていますね。そもそも、布に模様をつける技術はいつごろから始まったのでしょうか?
詳しいことはわかっていませんが、世界各地で自然発生的に始まった最初の模様染めは「絞り染め」と考えられています。
魏志倭人伝には、この染色技法が弥生時代に日本でも行われていたことを示す記述があり、また、法隆寺や正倉院に残された纐纈裂(こうけちぎれ)は、飛鳥時代や奈良時代の絞り染めによる模様染めの布です。平安時代には、貴族の間でも絞り染めが行われていたようです。枕草子に「待ちきれない物の一つ」に絞り染めが挙げられているのですよ。
室町時代の辻が花も絞り染めの一種ですし、江戸時代の浮世絵にも絞り染めの振袖や浴衣を着た女性が描かれるなど、長い年月、日本人に好まれた染色技法、それが絞り染めなのです。
最後に、染色学実習室の絞り染め布のいくつかをご紹介します。