本日4月4日(日)、あいにくの天気となってしまいましたが、短大は10時から、大学は13時からと時間をずらし、令和3年度「入学式」を、規模縮小・時間短縮の形式で挙行いたしました。
令和3年度 東北生活文化大学 入学式式辞
令和3年度においても、先月から急激な新型コロナウイルス感染者が増え、仙台市、宮城県独自の「緊急事態宣言」が発せられました。このような状況のもと、東北生活文化大学の入学式の挙行が、危ぶまれておりました。このように無事に、入学式が挙行されることとなり、大変喜ばしいと思っております。
本日、東北生活文化大学は、家政学部家政学科服飾文化専攻が17名、家政学科健康栄養学専攻が46名、美術学部美術表現学科が62名、計125名の入学生を迎えました。
さらに、短期大学の卒業生3名を大学3年次への編入学生として迎えました。
合計128名の皆さん、入学および編入学誠におめでとうございます。同時に、これまでの皆さんのご努力に敬意を表しますとともに、皆さんを支えてこられましたご家族や関係者の皆さまにお祝い申し上げます。
世界は、すでに、グローバルな「地球社会」となっており、政治、経済、法律、生活、文化のあらゆる領域が、互いに密接につながっております。たとえば、新型コロナウイルス感染者増加は、まさに「グローバルな地球社会」そのものの結果でもあります。アメリカの感染者は3000万人を突破、世界の感染者は、1億2000万人、日本国内は46万人、依然として地球全体を覆う勢いです。わたしたち一人ひとりが向き合わざるをえず、日本人の日常生活にそのまま響いてきております。本日のこの入学式そのものも、グローバルな「地球社会」の網目から免れることはできないわけです。
このような昨今のグローバルな「地球社会」の進展に伴い、人間の生活と文化は一様化、均一化の方向に向かっています。その結果、国、地域ごとに培われてきた伝承的および伝統的な生活と文化がそれぞれ個性を失い、無色、透明な状態となり、個人一人ひとりの違いがなくなってくるようにも思えます。このような、いわゆる自己疎外の問題を克服するには、わたしたちは、これからどのように生きてゆけばよいのでしょうか。
歴史を振りかえれば、明治維新後の日本は、グローバルな「地球社会」に参加を強いられ、政治、経済、法律、生活、文化のあらゆる領域において、西洋化、文明開化が叫ばれた時代でした。その明治時代に、本学、すなわち三島学園は仙台に設立されました。本学は、昨年ですが、令和2年に、創立120周年を迎えました。西暦1900年、明治33年、三島駒治による東北法律学校開校がその始まりです。ついで、三年後妻よしが校長になって東北女子職業学校が創設されました。 東北女子職業学校は、創立当初から、女子の社会における自律の確立と地位の向上を願い、いわゆる「手に職を付ける」という実学教育を一貫して実践してきました。さらに、ヨーロッパにおける生活と文化を見習い、日本は、東北は、どのようにして近代化を身に付けたらよいのだろうか。生活と文化を形作る「衣・食・住」そのものを教育研究の対象としてきたのはいうまでもありません。
現在、本学家政学部では、これまで培ってきた家政学教育の伝統を生かし、現代に生きる新しい生活と美との融合を生み出そうとしています。そのために、人文科学、自然科学の基づく理論面のバックアップ体制と、現代社会の多様化、複層化に対応しようと、カリキュラム編成に努力しております。
さらに、一昨年度から「家政学部生活美術学科」は改組され、「美術学部美術表現学科」が新たに発足しました。仙台には、東北地方の中心都市であるにもかかわらず、これまで美術分野全般にわたって専門的に教育研究にたずさわる大学、学部がなかったのです。仙台市は、文化・芸術などの創造活動を活性化するために、「クリエイティブ産業」の振興、誘致に努めており、地域創生に貢献できる人材の育成を望んでおります。
今日列席しています入学生の皆さんの大多数が、「手に職を付ける」というさまざまな技術と資格を武器に、宮城、東北の地域に貢献しうる人材として育ってほしいと願っております。
このグローバルな「地球社会」で働き、自分自身を見失わず、主体的に生きるようになるには、本学での学生生活をどのように過ごしたらよろしいのでしょう。それには、本学の校訓「励(はげ)み、謹(つつし)み、慈(いつくし)み」がとても大切であると、わたくしは感じています。
この本学の校訓を胸に刻み、心の奥深くに宿る本来の身」の姿をみずからが自覚しえるようになると、個人としての主体性が発揮できるようになります。そうなれば、今後、4年間、持続してこつこつと、各学部、各学科、各専攻に応じた、そして学生一人ひとりに課せられた「感覚する力と創造する力との絆」をしっかりと鍛えることができるのではないでしょうか。そして、卒業後の働くことの楽しみや自由を享受できる基盤が形成されるのではないでしょうか。
このようにして、本来の真の「自分自身」の探求を一人ひとりが実践すれば、それが束となって、皆さんの多様性に満ちたエネルギーの総体が生み出されてくるのではないでしょうか。それが、新たな地方創生の原動力にもなるでしょう。21世紀は、ローカルな「地域社会」の理想的な形を実現すべく、新入生の皆さんをはじめ若人の活躍する世紀であると確信しております。
教職員一同、新入生の皆さんのご入学を心からお祝いし、本来の真の「自己自身」の探求に励み、ローカルな「地域社会」とグローバルな「地球社会」の一員として、ハイブリッドに成長なさることを祈念し、式辞といたします。
令和3年4月4日
東北生活文化大学 学長 佐藤一郎
令和3年度 東北生活文化大学短期大学部 入学式式辞
令和3年度においても、先月から急激な新型コロナウイルス感染者が増え、仙台市、宮城県独自の「緊急事態宣言」が発せられました。このような状況のもと、東北生活文化大学短期大学部の入学式の挙行が、危ぶまれておりました。このように無事に、入学式が挙行されることとなり、大変喜ばしいと思っております。
本日、東北生活文化大学短期大学部は、生活文化学科食物栄養学専攻が36名、生活文化学科子ども生活専攻が34名、計70名の入学生を迎えました。
皆さん、入学誠におめでとうございます。同時に、これまでの皆さんのご努力に敬意を表しますとともに、皆さんを支えてこられましたご家族や関係者の皆さまにお祝い申し上げます。
世界は、すでに、グローバルな「地球社会」となっており、政治、経済、法律、生活、文化のあらゆる領域が、互いに密接につながっております。たとえば、新型コロナウイルス感染者増加は、まさに「グローバルな地球社会」そのものの結果でもあります。アメリカの感染者は3000万人を突破、世界の感染者は、1億2000万人、日本国内は46万人、依然として地球全体を覆う勢いです。わたしたち一人ひとりが向き合わざるをえず、日本人の日常生活にそのまま響いてきております。本日のこの入学式そのものも、グローバルな「地球社会」の網目から免れることはできないわけです。
このような昨今のグローバルな「地球社会」の進展に伴い、人間の生活と文化は一様化、均一化の方向に向かっています。その結果、国、地域ごとに培われてきた伝承的および伝統的な生活と文化がそれぞれ個性を失い、無色、透明な状態となり、個人一人ひとりの違いがなくなってくるようにも思えます。このような、いわゆる自己疎外の問題を克服するには、わたしたちは、これからどのように生きてゆけばよいのでしょうか。
歴史を振りかえれば、明治維新後の日本は、グローバルな「地球社会」に参加を強いられ、政治、経済、法律、生活、文化のあらゆる領域において、西洋化、文明開化が叫ばれた時代でした。その明治時代に、本学、すなわち三島学園は仙台に設立されました。本学は、昨年ですが、令和2年に、創立120周年を迎えました。西暦1900年、明治33年、三島駒治による東北法律学校開校がその始まりです。ついで、3年後妻よしが校長になって東北女子職業学校が創設されました。
東北女子職業学校は、創立当初から、女子の社会における自律の確立と地位の向上を願い、いわゆる「手に職を付ける」という実学教育を一貫して実践してきました。さらに、ヨーロッパにおける生活と文化を見習い、日本は、東北は、どのようにして近代化を身に付けたらよいのだろうか。生活と文化を形作る「衣・食・住」そのものを教育研究の対象としてきたのはいうまでもありません。 現在、本学、生活文化学科では、これまで培ってきた家政学教育の伝統を生かし、さらには子育てを含めてを現代に生きる新しい生活文化を生み出そうとしています。現代社会の働く場の多様化、複層化に対応しようと、カリキュラム編成に努力しております。
私は、食物栄養学専攻の「校外実習報告会」、および、子ども生活専攻の「幼稚園教育実習報告会・保育実践報告会」で学生の皆さんの生の声を聞くことができました。学生の皆さんは、率先して、発表スライド、資料作成も含め、報告会の企画、運営を担当している様子がうかがえ、溌剌とした発声とあい待って、格段の成長と、頼もしささえ感じられました。
今日列席しています入学生の皆さんの大多数が、「手に職を付ける」というさまざまな技術と資格を武器に、宮城、東北の地域に貢献しうる人材として育ってほしいと願っております。
このグローバルな「地球社会」で働き、自分自身を見失わず、主体的に生きるようになるには、本学での学生生活をどのように過ごしたらよろしいのでしょう。それには、本学の校訓「励(はげ)み、謹(つつし)み、慈(いつくし)み」がとても大切であると、わたくしは感じています。
この本学の校訓を胸に刻み、心の奥深くに宿る本来の「自分自身」の姿をみずからが自覚しえるようになると、個人としての主体性が発揮できるようになります。そうなれば、今後、2年間、持続してこつこつと、食物栄養学専攻、子ども生活専攻それぞれに応じた、そして学生一人ひとりに課せられた「感覚する力と創造する力との絆」をしっかりと鍛えることができるのではないでしょうか。そして、卒業後の働くことの楽しみや自由を享受できる基盤が形成されるのではないでしょうか。
このようにして、本来の真の「自分自身」の探求を一人ひとりが実践すれば、それが束となって、皆さんの多様性に満ちたエネルギーの総体が生み出されてくるのではないでしょうか。それが、新たな地方創生の原動力にもなるでしょう。21世紀は、ローカルな「地域社会」の理想的な形を実現すべく、新入生の皆さんをはじめ若人の活躍する世紀であると確信しております。
教職員一同、新入生の皆さんのご入学を心からお祝いし、本来の真の「自己自身」の探求に励み、ローカルな「地域社会」とグローバルな「地球社会」の一員として、ハイブリッドに成長なさることを祈念し、式辞といたします。
令和3年4月4日
東北生活文化大学短期大学部 学長 佐藤一郎