食物栄養学専攻1年生の「ライフステージ栄養学実習Ⅰ」の授業のご紹介をします。

この授業では、高齢期の栄養について学びました。高齢期の特徴として、歯がなくなったり、筋力が低下することによって、食べ物を噛んだり飲み込んだりすることが難しくなることがあります。摂食・嚥下が上手にできないと、食べ物が気道に間違って入り、誤嚥性(ごえんせい)肺炎を起こしてしまうことがあります。

ひと昔前は、完成した料理をそのまま全部ミキサーにかける「ミキサー食」が主でしたが、最近では対象者の状態に合わせた「嚥下調整食」が考案され、柔らかさ、滑らかさ、まとまりやすさ、水分量などを考慮した安全かつ、見た目も美味しそうな料理が提供されるようになりました。

今回は、来年度に向けた体験として、凝固剤を使った「嚥下調整食」を4品作ってみました。調理の工程を写真で詳しく説明します。

「鶏肉の照り焼き」の調理工程もご紹介します。噛めない、飲み込みが難しい高齢者を想定して、テリーヌのようになめらかな状態に作り直しました。

一般食として完成させた料理に、だし汁など水分を加えて攪拌して固めるため、嚥下調整食は栄養価が下がり、味も薄くなります。そのためにだし汁の代わりに栄養剤を加えたり、たれやソースを最後にかけて美味しく仕上げるように工夫します。

たこ焼きを作っている様子です。冷凍たこ焼きを電子レンジにかけてから、だし汁を加えてミキサーにかけ、粒を除去するために裏ごしをします。成型のための丸い型は、チョコレートの製菓用の銀紙カップを変形させてました。でんぷんの多い素材は、温度が下がるとすぐに固まりってしまうため、少し苦労しました。

 

ほうれん草のお浸しも、お浸しとだし汁と調味料をミキサーにかけて、凝固剤を加えて、羊かんや寒天などを固める「流し箱」に入れて固めます。最後は、ほうれん草の姿に戻すため、千切りにしました。柚子の皮をすりおろして、お浸しの上にのせて、見た目と香りをよくしました。少し離水(水分が出ること)してしまった班もありますが、なぜそうなるのかを、どんな影響があるのか、今後の授業で探求していくことにします。

  

 

学生たちの感想としては「歯がなくてものみこめて、のどにひっかかるものもなく、なめらかに作られていた。味はしっかり鶏の照り焼きやエビの天ぷらの味がした」「手間がかかって大変だった。でも安全に食べてもらうためにはがんばりたい」「いろいろな種類のソフト食を作ってあげたい」などと書かれていました。

現在学んでいる「ライフステージ栄養学」の講義と、2年生の前期で「ライフステージ栄養学実習Ⅱ」で、さらに詳しく高齢期の栄養を学び、献立作成と調理の実践を行っていきます。授業担当の教員としては、東北の郷土料理の嚥下調整食を考案してくれるといいなと、密かに期待しています。

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生文大通信

先輩が入学を決めた理由

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