1月20日、保育内容(表現Ⅱ)の授業で「のはらうた発表会」を行いました。この授業は、子ども生活専攻2年生後期の必修授業で、今年も工藤直子さんの詩集「のはらうた」の詩の中から1篇を選んで劇化するという取組を行いました。
保育内容(表現Ⅱ)の授業では、保育者を目指す学生に、幅広い表現活動を経験し、保育現場での活動に生かすことのできる表現力を身に付けさせることをねらいとしています。そこで、例年、言語表現・音楽表現・造形表現・身体表現など、様々な表現を併せ持った総合的な表現である「劇」に取り組ませています。さらに劇を作るにあたっては、脚本があるものや良く知られた昔話などを取り上げるのではなく、一遍の「詩」をモチーフに、友達とイメージを共有しながら劇を作り上げることにしています。
そこで、取り上げた詩が「のはらうた」です。「のはらうた」は、「のはらみんなのだいりにん」である工藤直子氏が、うさぎ、すみれ、みのむしといった野原に住む生き物たちなど「のはらみんな」の言葉を書き留めるという設定で書かれています。「のはら」という世界を共有しやすい点や分かりやすく平易な言葉で書かれた短い詩である点、小中学校の教科書にも掲載されて学生にもなじみのある詩が多いことなどがこの「詩」を取り上げた理由です。
けやきだいさくの「いのち」を劇化しています。けやき役が1名と3羽の小鳥たちです。
けやきの木の周りで小鳥たちが歌います。小鳥の声を手に持った鈴で表現しています。
こねずみしゅんの「かんがえごと」を劇化しています。こねずみはみんなどんぐりをかじるごとにかんがえごとをするのです。ステージには10個のどんぐりを置きました。
いなごわたるの「ゆめみるいなご」を劇化しました。わたる君は、雲に飛び乗ることを夢見ているのです。
すみれほのかの「ひるねのひ」を劇化しました。優しい風がなびく春の日です。
すみれほのかさんは、ちょうちょのゆめを見ているのでしょうか?とろとろの春の日です。
この発表に至るまでには、小道具づくりや作曲、演技の練習も積み重ねてきました。
大道具作りです。2メートルを超す大きな木を作っています。これも保育の現場で生かせる学びです。
こねこの耳はカチューシャに取り付けて、手の部分はフェルトで作りました。
こねずみの頭が出来上がりました。ボール紙で作った頭の枠に銀色のビニール袋を貼っています。
ありんこたくじは「さんぽ」に出かけます。「ぼくのひげぷるぷる ぼくのあししゃかしゃか」さあ、どんな演技をしようかな。
12のグループが登場した発表会。学長先生や子ども生活専攻の先生方にも見ていただき、学生たちのモチベーションも上がったようです。会場の後ろの扉から登場したり、音楽に合わせてダンスを踊ったり、個性あふれる表現が見られました。学生の感想をご紹介します。
〇 イメージすることと実際にやってみることでは大きな違いがあって難しかったが、お互いにイメージを伝えあって共有することでいい劇になったと感じた。
〇 今まで頑張ってきた製作・準備・練習の成果を発揮できたことが一番嬉しかった。このグループで最後まで演じられて本当に楽しかった。
〇 表現の中にも音楽表現や身体表現など様々な要素があり、グループによって何を重視したかによって個性が出ていると感じた。
〇 「のはらうた」は現場でも使えると思った。自分たちの発表や友達の発表を参考にして是非、取り組んでみたい。
〇 指導技術は勿論だが、子ども一人ひとりが輝ける劇にすることが最も大切だと思った。保育者としても子どもと一緒に楽しめる劇づくりをしたい。
この授業は、2年間の表現に関わる授業の集大成となると思います。「学生一人ひとりの感性を磨くとともに、表現力豊かな保育者としての資質を高める」というねらいに少しでも近づくことができれば嬉しい限りです。是非、この取組を保育の現場でも生かしていってほしいと思っています。