服飾文化専攻では、今年度第2弾の服飾講座(全5回)を配信します。
服飾講座では、専攻での教育や研究内容に関連する生活文化や服飾文化、教育分野等の様々な知識をお伝えしています。
「ファッションなのになぜ実験?」今回の講座では、被服の実験に使用する機器を紹介しながら解説します。(毎週火曜配信)
服飾講座③「Spray Tester」
第3回目はSpray Tester(スプレーテスター)を紹介します。
スプレーテスターは撥水(はっ水)性を調べる実験器具です。
ファッションアイテムの中には、レインコートやアウトドアウェアー等、雨水の侵入を防ぐものがありますね。このような性質を防水、撥水、耐水性等と呼びます。今回取り上げる撥水性は、特に布が水をはじく性質を指します。
雨の中でずぶぬれになってしまうと風邪をひいたりして体調を崩してしまう事があることはもちろん、登山の最中には命を脅かしかねない事態になることも。
「ファッションなのになぜ実験?」、これは、用途によって布が撥水性を有することが重要な場合も考えられるので、どの程度の撥水性を有するのか、あるいは「撥水性」を有するアイテムとして一定レベルの撥水性を有しているのか等を調べるために実験を行う必要があるのです。
撥水性は撥水度(等級:1~5)で示します。撥水度は、スプレー試験で行い、試験片を保持枠に固定(45°)し、高さ約150mmの位置のスプレーノズルより水を散布後、試験片から余分な水滴を落として湿潤状態の見本と比較して評価します。
繊維製品品質表示規定では、アイテムに「撥水性」をうたう場合(機能を有する意)、JISに規定されている洗濯またはドライクリーニング処理後の試験で「2級以上の性能を有しているもの」とされています。
撥水性の異なる布(ウィンドブレーカー用:緑色、Yシャツ用:白色)についてスプレーテスターで撥水度を測定してみました。
繊維表面が疎水性である、あるいは疎水化するよう後加工で加工剤が塗布されている、高密度織物である等が撥水性が高い布と言えます。