服飾文化専攻では、今年度第2弾の服飾講座(全5回)を配信します。
服飾講座では、専攻での教育や研究内容に関連する生活文化や服飾文化、教育分野等の様々な知識をお伝えしています。
「ファッションなのになぜ実験?」今回の講座では、被服の実験に使用する機器を紹介しながら解説します。(毎週火曜配信)
服飾講座②「Drape Taster」
第2回目はDrape Taster(ドレープテスター)を紹介します。
ドレープテスターはテキスタイル(布)のドレープ性の測定実験を行う機器です。
ファッションアイテムの中には、スカートやドレスといった見た目の美しい製品が多数ありますね。
スカートやワンピースの風合いは剛軟性やドレープ性で表される場合があります。中でもドレープ性は、布の自重での垂れ下がりの程度で、アイテムを企画造形する際に見た目やシルエットに大きく影響します。
「ファッションなのになぜ実験?」、ドレープ性をはじめとする布の風合いは感覚的な特性ですが、布の硬さや柔らかさ、糸密度、弾性等の物理的な特性が変化するので、これらを測定し感覚的な風合いを調べるために実験を行う必要があるのです。
ドレープ性の大小(量的評価)はドレープ係数(小=ドレープ性大)で示します。係数の異なる布を用いて同じパターンのスカートを制作した場合、係数の小さい布では曲線的で凹凸ラインが協調されたシルエットに、逆に大きい布は直線的に仕上がります。
実際のドレープ性の測定では、直径25.4cmに裁断した円形の布を、直径12.7㎝の円形の台に置き、台を上下に3回振動し、さらに1分放置した後の垂直投影面積を測定します。デニム(斜文織、綿)とニット(平編、綿)の形状を比較してみました。
ファッションアイテムの企画造形を行う際の布の選択に、皆さんは布の色や模様に目が行きがちですが、布を実際に触って厚さや柔らかさ硬さ、垂れ下がり等、立体的なイメージを持って選ぶように心がけましょう。