服飾文化専攻では、今年度第2弾の服飾講座(全5回)を配信します。
服飾講座では、専攻での教育や研究内容に関連する生活文化や服飾文化、教育分野等の様々な知識をお伝えしています。
「ファッションなのになぜ実験?」今回の講座では、被服の実験に使用する機器を紹介しながら解説します。(毎週火曜配信)
服飾講座④「Color Fastness Perspiration Tester」
第4回目はColor Fastness Perspiration Tester(汗試験機)を紹介します。
汗試験機は汗や水に対する染色堅牢度を調べる実験器具です。
ファッションアイテムのほとんどは染色されていてカラフルです。しかし、洗濯後に他の服から色が移ってしまった!等の経験がある人がいるかもしれません。染色された布は、日光にさらされる、洗濯を行う、等の要因によって変色や退色(合わせて「変退色」)や色移り(汚染または移染)が起きてしまう場合があります。
「ファッションなのになぜ実験?」 これは、染色布の変退色や汚染のしやすさはどの程度か、流通させるのに一定レベルの色の耐久性を有しているのか等を調べるために実験を行う必要があるのです。
染色布の色の耐久性を「染色堅牢度」と言います。JISで定められた実験を行い、そのレベルを等級(1~5級、日光のみ~8級)で示します。実験では、用途に応じて日光や汗、洗濯、摩擦等、変退色や汚染が起こりうる要因について調べます。
汗試験機は、汗に対する染色堅牢度を調べるために使われます。方法は、酸性とアルカリ性の人工汗を調整して染色布と白布を縫い合わせた試験片を30分浸漬します。その後汗試験機に取り付けて荷重をかけ、37±2℃で4時間処理します。
実験後、「グレースケール」という指標と照らし合わせて等級を判定します。グレースケールには、変退色の程度を判定する変退色用グレースケール(下段)と、添付白布への汚染の程度を判定する汚染用グレースケール(上段)の2種類があります。