服飾文化専攻の授業(全8回)を紹介していきます(毎週金曜日に更新予定)
☆専攻の授業紹介⑥ 「 家庭科教材研究 」
こんにちは。今回は、服飾文化専攻科目の「家庭科教材研究」を紹介します。植松公威が担当します。
学校の授業で学んだことを学校外の生活で生かせるようになることが望ましいことは確かです。学ぶことの目的は生活を豊かにすることだと言えます。しかし、学校の授業で学んだことと学校内外での経験が一致せず、両者が対立関係にある場合、授業で学んだことが無視されたり、否定されたりすることが起こりえます。これは、とても重要な問題です。このテーマはこれまで科学(理科)の領域で心理学的な研究が行われてきましたが、家庭科でも同じ種類の問題が起こっている可能性があります。
例えば、中学校の家庭分野の教科書には「生鮮食品にはたくさん出回る時期、旬がある」という記述があり、生鮮食品には旬があることを学びます。しかし、キュウリ、トマト、ナス、キャベツ、リンゴなど一年中、店頭に並んでいる野菜や果物は少なくありません。そのため、本来の旬の時期がわからない、または旬の時期があることがわからない人が増えてきている、と言われています(平成23年度栄養教育実習報告会-研究授業指導案-)。確かに、スーパーに行くと、野菜、果物、魚、肉はほとんど同じ種類のものが一年中、変わらずに売られ、値段も天候不順の影響を除いて、あまり季節によって変化していないように思われます。
このように、授業で「生鮮食品には旬がある」と伝えても、学習者は理解や納得ができない可能性が高いのです。学習者はきっと次のような疑問をもつでしょう。「旬があるのなら、なぜ一年中、ほぼ同じ値段で売られているの?」、「店頭で一年中、変わらずに売られているのだから、旬は消えたのではないか?」など。このような学習者の疑問に答えるためには教材研究が欠かせません。また、教える場合に、学習者の経験や考えにも一理あることを認めながら、新しい情報の正しさも認めてもらうために、どのような枠組み、構造の情報を提示したら有効であるかを心理学的に考えることも教材研究と言えます。教授効果の検証と授業評価も教材研究です。